編集部を拡張する調査コンテンツ〈WORKSIGHT SURVEY〉もう参加しましたか?
毎週火曜配信のニュースレターの最下部にアンケート機能を設け、記事で取り上げたテーマについて意識調査を行ってきたWORKSIGHT。読者から寄せられた声から、新たな視点を可視化することができるのか。2025年配信のニュースレターを、読者からのフィードバックとともに振り返る。
Yutthana Gaetgeaw/iStock/Getty Images Plus
コクヨ株式会社のリサーチ&デザインラボ・ヨコク研究所のオウンドメディア「WORKSIGHT」。週刊ニュースレターを中心に、書籍、SNS、イベントなど、さまざまなチャンネルを通じてコンテンツを配信してきたなかで、2025年4月には、編集部と読者がこれからの社会像を共に探求できる新たな調査コンテンツとして〈WORKSIGHT SURVEY〉をスタートさせました。
〈WORKSIGHT SURVEY〉は、週刊ニュースレターの最下部に記載されている、読者参加型のアンケート調査です。読者がニュースレターを受動的に読むだけでなく、記事が投げかける問いに対し各々の視点から回答することで、コクヨが掲げる未来のシナリオ「自律協働社会」への解像度を、読者と共に高めていくことを目的としています。そこで今回は、2025年振り返り企画・第1弾として、本コンテンツ開始以降に配信したニュースレターに対して、読者のみなさんから寄せられたコメントをピックアップしてご紹介します。
まだ回答したことのない方は、本ニュースレターの最下部より、ぜひご参加ください。
text by WORKSIGHT
2025年4月29日配信
バーンズ・アンド・ノーブルの書店再生術:CEOが語る”自律的チェーン店”のすすめ
インターネットの普及、オンライン書店の台頭、さらにコロナ禍の影響により、世界各国で書店は窮地に立たされている。そんななか、全米最大の書店チェーン「バーンズ・アンド・ノーブル」は、各店舗に自主性をもたせる異例の方法で店舗数を拡大し注目を集めている。イギリスで老舗書店チェーン「ウォーターストーンズ」をV字回復させ、同様の手法でアメリカでも書店再生に成功したジェームズ・ドーントCEOが、復活の舞台裏を明かす。
◉アンケート結果
Q:バーンズ&ノーブルの取り組みは他業種・業界でも転用可能?
◉回答理由
【転用可能だと思う】完全に自由な個人店より、ある程度枠(基準)がある中での自由の方が、やる方もやりやすく万人にもちょうど良く受け入れられるように思える。それと立ち上げる際の初期投資やノウハウなど個人店では大きすぎる負担を代替できる大手チェーンならではのメリットがあると思う。
【転用可能だと思う】コーヒーチェーン、酒屋、レコードショップなど文化性の高い業態(蘊蓄を込めた手書きPOPが有効な店)には即転用が可能だと思うし、コンビニとかも顧客接点であるフランチャイジーに権限を委ねたほうが自主的に考えた店づくりをして、結果リピーターが集いやすくなると考えた。
【転用可能だと思う】「チェーン店だからこそ入りやすい」というメリットと「店舗ごとの個性を活かす」という方針との組み合わせは強力。中央集権的なガバナンスから分散統治へと移行することは、長い目で見れば中央(本社)の凋落や地方(各店舗)の離反といった結果に至るかもしれないが、しばらくの間は有効なのではないだろうか。
photograph by Angus Mordant/Bloomberg via Getty Images
2025年5月13日配信
会社が「境界」だとするならば:経営学者・岩尾俊兵と「経営」「会社」を再考する【会社の社会史・番外編】
日本の「会社」をめぐる謎に迫ったWORKSIGHTのイベントシリーズ「会社の社会史」の書籍化として、2025年1月に刊行された『会社と社会の読書会』。今回、その共著者のひとりである民俗学者・畑中章宏氏と、ベストセラー『世界は経営でできている』や『経営教育』などの著作で知られる岩尾俊兵氏による対談が実現。異なるフィールドに立つふたりが、「経営」と「会社」に新たな視座をもたらす対話を繰り広げた。
◉アンケート結果
Q:日々の選択や行動を「経営」として捉えたことはある?
◉回答理由
【捉えたことがある】日々の選択に、世の中でいうところのビジネス的な「経営」という意味を付与したことはないが、「価値創造に向けて、豊かな共同体をかたちづくる営み」と捉えて行動するようなことはある気がする。
【捉えたことがある】体重や睡眠などを記録して体調管理の参考にしたりはしているので、どうも自分はお金や手続きのような面以外では経営とも近いことをしているのかもしれない。
【捉えたことがない】自分の生活が「社会に帰属している」と言えるものではないから。その日を生きることでいっぱいだから。
photographs by WORKSIGHT
2025年5月20日配信
都市を「診る」とは:消費を問い直す「町の診断師」北沢恒彦の実践
人びとの暮らしが行き交う生活空間として商店街を捉え、そこに通い、日常の営みを記録する「まち」の診断を行った北沢恒彦。京都市役所に勤務しながら、反戦運動家、市民活動家、編集者として活動した“越境的実践者”の足跡は、現在の我々の都市生活に大きな刺激を与えてくれる。WORKSIGHTプリント版・27号「消費者とは Are We Consumers?」より、北沢の実践に焦点を当てたコラムと建築史家・和田蕗氏のインタビューを特別公開。
◉アンケート結果
Q:現代のまちづくりに「素人」の視点は必要?
◉回答理由
【必要だと思う】まちとは他者の集まりであり、それぞれの個人的なこと(私的・詩的なこと)を最もよく発露できるのが「素人」だから。
【必要だと思う】まちづくりは、建築や都市工学だけでなく多様な専門分野が関わる。なので特定分野の専門家ではなく、素人を含む多様な視点が必要だと思う。
【必要だと思う】実際にまちで暮らすのはたくさんの素人であり、その人の属性、価値観により異なる視点をもつ。知識がないからこそ自分のまちに対する純粋な視点をぶつけることができるはずだから。
photograph by KAI Fusayoshi
2025年5月27日配信
ジビエの「外」を見渡す:人類学者に尋ねた狩猟と獣肉の現在
近年、日本でもジビエが流行し、狩猟も耳目を集めるようになっている。山間部における獣害問題の深刻化への対応といった側面も大いに影響しながら、各地で試行錯誤が繰り広げられている状況だ。しかし一方で、そうした動きがわたしたちの社会の深部、人びとの価値観を根底から揺り動かすようなところまでは、なかなか届いていないようにも見える。日本でのジビエや獣肉について研究の一環で取り組んでいる大石高典氏のもとを尋ねた。
◉アンケート結果
Q:味や硬さにばらつきのあるジビエ。その違いを楽しむことはできる?
◉回答理由
【楽しめる】動物も、一体一体、体格も、顔も、性格も異なります。肉だけを見ているとそれが分かりません。しかし、個体と肉の紐付きを想像すること、体感することができれば、肉の味に違いがあることも理解が容易になり、受け取り方も異なるものになるのではないでしょうか。
【楽しめる】野生のものであるなら当たり前だから。きのこや山菜を山で採ったり、畑で野菜を育てる経験があれば、スーパーで並ぶものの均一性の方に違和感を感じる。野菜だけでなく肉もしかり。
【楽しめる】先生の言っていた、標準化に対して慣れきっているというご指摘が、事実それを言われるまで気づかなかった自分がいることによって正しいと感じました。
photograph by Kaori Nishida
6月3日配信
アジアが集い、創造する「道場」:山形と東京、ドキュメンタリストの虎の穴
豪雪地・山形にアジアの映像作家が集う「山形ドキュメンタリー道場」は、成果を性急に求める社会から一歩距離を置き、制作者同士が未完成の映像を冒頭から上映し合う「乱稽古」を通じて思考を深め、国や言語の違いを超えたモ
ニュメントつながりを築いてきた。映像制作の技法や構造だけでなく、協働や対話のあり方そのものを見つめ直すこの場は、いかにしてアジアの創造性と行動力に応答してきたのか。主宰・藤岡朝子氏に話を訊いた。
◉アンケート結果
Q:アジア各地で、創作や表現における新しいつながりが広がっている?
◉回答理由(抜粋)
【広がっている】自分がそのネットワーカーを務めたり、渦中にいるので経験としてそう思っている。
photograph courtesy of Yamagata Documentary Dojo
2025年6月10日配信
記憶の可変装置としてのモニュメント:小田原のどかと考える、BLM運動からモヤイ像まで
BLM運動を機に、植民地主義や人種差別に関わる像の撤去が世界各地で進むなか、公共空間に置かれた像は、誰の声を残し、誰の声を排除するのかという問いに直面している。日本でもハチ公像やモヤイ像をはじめ多様な像が街に佇むが、その背景はさまざま。これらは誰の記憶を、どのように記録しているのか。揺れ動く国内外のモニュメントを手がかりに、記憶と公共空間のあり方について、彫刻家・評論家の小田原のどか氏に語ってもらった。
◉アンケート結果
Q:日本のモニュメントを見て「なぜここに?」と立ち止まったことは?
◉回答理由
【立ち止まったことがある】陣馬山の山頂にある馬のモニュメントは、初めて見たとき「なんじゃこれは」とビックリして立ち止まった記憶がある。
【立ち止まったことがある】交通事故が起きたところに花が手向けられていることがあるが、そのような「ここで人が亡くなった」ことを示唆する、ひっそりとしたモニュメントを見かけることがある。そういったモニュメントは、モニュメントの方からわたしに呼びかけているからなのか、無視できないような気持ちになり、つい立ち止まってしまう。
また、野仏のお話で思い出しまたが、わたしはお地蔵さんが道端にいると無視しないほうが良い気がしていて、つい手を合わせたり挨拶をしてしまい、それを同行人に笑われたことがある。日光を訪ねた際、観音寺のやや急な山道を上ると「千手観音堂」があるのだが、そこからさらに上に何かありそうな気がして、登ってみるとそこには、放棄され倒された鳥居と石の祠があった。忘れられた、信仰に関するモニュメントには畏敬のようなものを感じる。
photograph by Andrew Lloyd/Getty Images
2025年6月17日配信
地図は、どうして地図に見えるの?:空想が照らし出すリアル
近年、自身が想像した架空の場所をマップのかたちに落とし込む「空想地図」という営みが、日本国内で熱心な人びとによって支持され、ファン・コミュニティが形成されつつある。そのなかで、空想地図の製作に取り組む若き研究者・吉田桃子氏は、「空想地図がなぜ地図として見えるのか」という問いを通じて、逆説的に地図というメディアの核心に迫ろうとしている。これまでの研究過程で制作した作品とともに、地図の奥深さについて話を伺った。
◉アンケート結果
Q:地図のデザインや読み方には文化や国による違いがあると思う?
◉回答理由
【違いがあると思う】空想地図は、n=1の心象風景が描かれていて、ナラティブな弱い文脈の表現であり、欧米目線で地図に求められる機能としての役割とは真逆の存在と言えそう。行き先に対するルートについて、意思決定が素早くできる「機能」こそが地図の正義である、という感覚とはズレているから、違和感をもつ人が多かったのかも知れない。
空想地図を見ていて思い出したのは、富山県が所有する「立山曼荼羅」だ。いわゆる地獄絵図だが、あの山の向こうはこんな地獄が、こちらにはこんな地獄が……と、まるで地図の様になっている。これは仏教のナラティブを反映した空想地図なのではと思った。現実世界では役に立たないが、仏教世界の対話のなかでは、ここに行きたくない地域の地図として役に立っていそう。
もしかするとキリスト教世界では、地図にそのナラティブをもち込む習慣が無いのかも知れない。地獄の表現も、地図ではなく、縦に落ちて行く深い穴の様なイメージで、立山曼荼羅とは全然違う。そうした宗教的表現の違いから、見慣れないもの、と感じた可能性もありやなしや。
空想地図を見ながら連想したもう一つのものとして、小指さんの作品「score drawing」(スコア・ドローイング)がある。これも、音符としてはまったく役に立たない、聞いた人が感じた風景だ。「楽譜」としては描く意味がわからないし、読み取り方は人によって千差万別になりそう。
photograph courtesy of Momoko Yoshida
2025年6月24日配信
「発光都市」を見つめて:写真家・聶澤文が撮影する中国の現在
中国の各地には、建築物自体が発光するビルがいくつもあるという。それらは都市空間において、単なる照明の機能を超え、国家の繁栄や技術力の象徴として建築と結びつき、都市そのもののイメージをかたちづくっている。「発光都市」と呼ばれる現象にカメラを向け、その背後にある都市の歴史的文脈と社会構造、そしてそこに生きる人びとの営みを丹念に写し取ってきた写真家・聶澤文(ネ・タクブン)氏に話を聞いた。
◉アンケート結果
Q:今後、「発光都市」現象は日本でも広がっていく?
◉回答理由
【広がると思わない】周囲に配慮する(し過ぎる)文化だから。
【広がると思わない】計画停電時代の日本の様子を見ていると、煌々とビルが光るみたいなものが流行るとは思えない。
【広がると思わない】記事で紹介された「発光都市」のような都市全体の勢いが、現在の日本の都市には感じられない。
photograph by Nie Zewen
2025年7月1日配信
音楽の奥にひしめく、無数の「物語」:中村隆之と柳樂光隆が語る、『ブラック・カルチャー』の今日性
世界各地で同時代的に生み出されているジャズ・ミュージシャンたちの先端的な実践は、音楽の領域を飛び越えて、わたしたちの世界の自律的なありようを示唆している。そんな折、音楽をテーマの中心に据えて、アフリカに由来する文化とその歴史を概説する新書『ブラック・カルチャー:大西洋を旅する声と音』が刊行された。著者である中村隆之氏と音楽評論家・柳樂光隆氏による、歴史と現在を絶えず往還するセッションのような対話。
◉アンケート結果
Q:非西洋文化について扱った日本語の本・記事は増えている?
◉回答理由
【増えている】『辺境のラッパーたち:立ち上がる「声の民族誌」』のような本も出てますし、状況は変わりつつあると思います。
【増えている】『黒人の歴史: 30万年の物語』などの本が出版されていたり、書物は増えている肌感がある。
【増えていない】音楽分野からはやや増えているのかもしれない。ただ政治的なトピックや、人権のトピックとしてマイノリティとされている人たちに焦点を当てた非西洋文化の本・記事は減ってきて、むしろバックラッシュやリベラル批判へのトピックにばかり移行している気がする。その点、『ブラック・カルチャー』のような、アフロ・ディアスポラについて基礎から知ることのできる本の重要性は、より高まってきていると感じる。
photograph by Kaori Nishida
2025年7月8日配信
アニメスタジオ、音楽レーベルを始める:MAPPA代表取締役社長・大塚学に訊くmappa recordsの必然
『呪術廻戦』『「進撃の巨人」The Final Season』『らんま1/2』などの国民的マンガのアニメ化をはじめとして、数々の大人気アニメの制作を手がけるスタジオ・MAPPA。新鮮な映像と演出で原作の魅力を引き出し、視聴者からの信頼も厚い彼らが、2025年4月音楽レーベル「mappa records」を設立した。時代を牽引するアニメスタジオの新たな試みの必然性とは。代表取締役社長・大塚学氏に訊いた。
◉アンケート結果
Q:アニメスタジオの多機能化はさらに進んでいくと思う?
◉回答理由
【思う】もっと国外や他領域と積極的にコラボしてほしい。音楽なら海外アーティストやインストロックバンド、ファッションならハイブランドと組んでリアルクローズとして魅力的なものをつくってほしいし、スポーツともコラボして運動用のミュージックビデオ的な展開があってもいいと思う。
photograph by Shusaku Yoshikawa
2025年7月15日配信
ハンセン博士とつくられた「正史」:らい菌発見をめぐる国家と科学の物語
ハンセン病患者、回復者、その家族の個人史を記録してきた写真家・小原一真氏は、ハンセン病の原因となる細菌を発見した医師アルマウェル・ハンセンの足跡を辿るべく、ノルウェー・ベルゲンを訪ねた。そこで出会ったマグナス・ヴォルセット博士は、ハンセン病発見の「正史」に隠された政治的意図を語って聞かせてくれた──国家によってつくられた科学のナラティブと、その語られざる真相とは。小原氏が、博士の語りをモノローグとして描き出す。
◉アンケート結果
Q:現在「科学」と「国家」の関係は近すぎる? それとも遠すぎる?
◉回答理由
【近い】大学や研究機関の研究(への助成など)が、国家の政策によって削られたり、不要なものと論じられたりしている。これらの科学的営みは、政策と切り離されて独立し安定している必要があると考える。また、企業への即戦力のための大学の再編や、国家のデジタルや軍事への課題解決のための研究機関の矮小化も、同様の問題であると思う。
【近い】ハンセン病は治る病になっても日本では国家の政策で隔離が続き、患者と家族への差別が続いた。国と科学の不作為だったのでは。
【遠い】国家はその遂行に科学的手段を使わず、演繹的手段に頼っている。科学を斥候として、未来予測に使うべきだと思う。
【遠い】科学的に現象を理解するということと、それをどう政策に反映させ政府としてどう広報していくのかという点が混然としている。
photograph by Kazuma Obara
2025年7月22日配信
音楽で世界を良くする方法:『ミュージックシティで暮らそう』書評【tofubeats特別寄稿】
音楽が社会的に「良いもの」であることを、客観的に示すにはどうすればよいのか。音楽は、いかにして行政において政策化され、「公共化」されうるのか。その青写真を提示し、音楽をインフラとして捉えなおす注目の書『ミュージックシティで暮らそう』を、人気音楽家・DJのtofubeatsが読み解いた。浮かび上がったのは、選挙カーは許容されるがクラブは規制されるという、音の公共性をめぐる恣意的なボーダーだった。
◉アンケート結果
Q:行政府は「文化」にもっとコミットすべき?
◉回答理由
【はい】日本では箱だけつくってあとは放置、というパターンが多いのでその中身についてもある程度コミットするべきだとは思いますが、どうコミットするかはすごく難しい問題だと思います。
【はい】規制というかたちではなく、促進・応援というようなかたちで行政府から積極的に関与してほしいと感じることが多々ある。
【はい】以前、スイスのチューリッヒでテクノパレードに参加したことがある。その数日間、街中はテクノ音楽の大音響に包まれ、世界中から集まった参加者で通りが埋め尽くされるような環境となっていた。そうした状況を街や住民が許容していることに、まず驚かされた。同時に、その許容を成立させるために、行政や警察が深くコミットし、ボランティアとともに安全かつクリーンな運営を行っているという点にも驚きを覚えた。
パレードの最中には、ドラッグなどを理由に警察官に連行される人々を複数目にしたが、大混雑のなかでも誘導は非常にスムーズで、周囲の参加者も警察の対応に協力していた。また、パレード期間中はゴミを路上に捨ててもよいというルールが設けられていたことにも驚かされた。イベント後半には、ゴミの上を歩くような状況になっていたにもかかわらず、翌日の午前中には行政とボランティアによってゴミは跡形もなく回収され、イベントの痕跡をまったく感じさせない状態に戻っていた。
さらに、パレード期間中の騒音や混雑に耐えられない高齢者や住民は、バカンスとして街を離れるのだという話を、現地の友人から聞いた。どのようにして、これほど大規模なイベントを企画・導入し、行政や住民の理解を得ながら運営体制を確立してきたのか、その詳細は分からない。しかし、その運営のあり方には強い感銘を受けた。クラシックやジャズとは異なる、若者の音楽と都市が共存するひとつのかたちとして、非常に興味深い事例であると感じた。
photograph by Robert Blomfield Photography/Getty Images
2025年7月29日配信
「仕組み」を見立てる、というプロダクト・デザイン:「Mitate products」の商品企画
「以下のパーツを全てご購入ください」と、オンデマンド3Dプリントサービスのリンクなどが掲載された不思議なオンラインストア。販売されているのは、既製品と別パーツの組み合わせに新たな用途を見立てるプロダクトブランド「Mitate products」の商品だ。完成させるのは購入者。プロダクトデザイナーが役割を拡張しつつ模索する、既存の製造業やメイカーズムーブメントとも異なる新しいものづくりのかたちとは。
◉アンケート結果
Q:デザイナーは、企画や仕組みづくりの段階から関わるべき?
◉回答理由
【関わるべき】モノ単体ではなく、それを取り巻くコトも含んだデザインが求められる昨今において、上流から関わることで、デザインの射程距離を延ばすことができると思います。デザイナーの定義が大きく変わってきているのかもしれません。
【関わるべき】コンセプトを立案することや仕組みを設計することもデザインと考えるようになった。
【関わるべき】企画や仕組みをデザインすることで、制作物に落とし込める熱量も変わるから。
photograph courtesy of Mitate products
2025年8月5日配信
「馬語」のススメ:馬と人、あわいの応答
与那国島で出会った親のいない仔馬を引き取り、「カディ」と名付けて一緒に生きてきた、馬飼いで文筆業の河田桟氏。馬の気持ちを理解すべく、目を凝らし、耳を澄ませながら、ゆっくりと理解していったのが「馬語」だ。河田氏とカディの静かに共鳴するような交流、そして自身の出版社・カディブックスから刊行された『馬語手帖』などの著作について尋ねつつ、馬と人のあいだの”ことばならざることば”を考えた。
◉アンケート結果
Q:人と人とのやりとりに重要なのは「ことば」? それとも「非言語的なやりとり」?
◉回答理由
【ことば】操ることができるから。
【ことば】扱い方を工夫すれば、非言語的なやりとりまで表すことができるのではないか。
【非言語的なやりとり】ことばを発することの困難な人、ことばを発する術をもたない人とのやりとりが存在しないことになる。
【非言語的なやりとり】長く介助などで関わっている人は、かなりの部分でコミュニケーションがとれたり、意思を読み取ったりすることが出来たりする。それは日頃からそれとなく非言語的なやりとりをしているから。
【非言語的なやりとり】ことばだと忖度があるから。
photograph by San Kawata
2025年8月13日配信
スモールコミュニティが重なり合うとき:ミナガルテンに学ぶ「みんなの庭」のつくり方【「場」の編集術 #02】
これからの都市空間は、どうかたちづくられるべきだろうか。シリーズ企画「『場』の編集術」第2回の舞台は広島・皆賀。パン屋や本屋、カフェ、シェアサロン、菜園などの機能がつながり合う循環型コミュニティスペース「ミナガルテン」を訪ねた。点在するコミュニティが重なり、人と人の関係性がゆるやかに編み直されていく「みんなの庭」には、従来の都市開発とは異なるまちづくりが、たしかに芽吹いている。
◉アンケート結果
Q:コミュニティの「ルール」は明文化すべき?
◉回答理由
【明確なルールがあるほうがいい】ミナガルテンの場合、記事で語られているような谷口さんの思想がルールの土台としてあり、妖精のように存在を感じられるから、明文化しないでもうまく機能しているのだと思います。つまり、谷口さんが意志を以て「明文化しない」というルールを設けたことが大事かと。ただ明文化されていないコミュニティは、声の大きい人がルールになっていく傾向にある。
【ルールが明文化されていないほうがいい】ルールという小さな枠に収まって挑戦が生まれにくくなる。
【ルールが明文化されていないほうがいい】コミュニティとともに変化する資産であり、コミュニティの規模や複雑さとともに景観が変わっていき、確固たるものが見えてくるような育ち方が望ましい。
photograph by Nishida Kaori
2025年8月20日配信
パリの「ミュージックバー」が面白い!ジャズ評論家・柳樂光隆が訪ねた注目の6軒
日本の「ジャズ喫茶」の影響を受けた「ミュージックバー」が、パリの街角に根を下ろし始めている。良質な音響とレコードコレクションを備えながら、音楽と酒を同時に楽しめる社交場として、音楽好きから注目を集めているのだとか。日本の雑誌やレコードを揃えるお店、日本酒やほうじ茶カクテルを楽しめるバー、細野晴臣ファンの店主が営むカフェなど、新たなトレンドを切り拓くパリ生まれの注目の6軒を、ジャズ評論家・柳樂光隆氏が訪ねた。
◉アンケート結果
Q:音楽を楽しむことのできるお店が日本には足りない?
◉回答理由
【すでに十分にある】吉祥寺在住。ジャズバーが多くあり、バータイムだけでなくランチでの利用が出来る店も多く、普段使いがしやすい。
【もっと増えてほしい】自分が住む熊本には記事で紹介されたような店が少ない。
【もっと増えてほしい】マニアックな店は気になるけど入りづらい(常連のコミュニティが出来上がっていたり、ハードルが高かったり)。入門編のようなお店が増えて欲しい。
【もっと増えてほしい】もっと音楽ジャンルがはっきりしたお店が増えても良いと思う。
photograph by Mitsutaka Nagira
2025年8月27日配信
美的なだけがデザインじゃない:韓国のスタジオ「日常の実践」が向き合う政治と社会
2024年12月、尹錫悦前大統領の1次弾劾訴追案が国会で否決された際、多くのデザイナーたちが声を上げたポスター制作シリーズ《時代精神プロジェクト》を立ち上げたのは、「日常の実践」(일상의실천/Everyday Practice)の面々だった。音楽や映画に「政治」がもち込まれるととかく騒動になりがちな昨今、デザインの領域に果敢に「政治」をもち込む彼らの活動から、グラフィックデザインと政治の新たな地平を探る。
◉アンケート結果
Q:デザインは、もっと政治的・社会的な「時代の声」を反映すべき?
◉回答理由
【積極的に反映させるべき】デザインは非言語的なシステムとして活動できると考えるから。
【積極的に反映させるべき】昔もいまも、アートやデザインで政治主張をすることは、表現のひとつとして重要な手段だと思っている。
【積極的に反映させるべき】デザインには、良くも悪くも世論をつくる力があるため、その力を世界がより良くなる方向へ使ってほしい。
photograph courtesy of Everyday Practice
2025年9月2日配信
「山の寄り合い」が描いた新しい知の風景
オランダからのゲストと日本の研究者、編集者、デザイナーらを招き、栃木の山上で1泊2日のスタディキャンプを開催したWORKSIGHT編集部。その様子を一冊まるごと収めた特別号を制作している間、参加者に振り返りをお願いしたところ、オランダ文化プログラムをファシリテートするヴィンセント・スキッパー氏から、誌面に収まりきらないほど熱のこもったメッセージが届いた。「山の寄り合い」を通じて見つめ直した、異なる知のあり方とは。
◉アンケート結果
Q:現代に「寄り合い」があったとしたら?
◉回答理由
【参加してみたい】雑談から生まれるコミュニケーション、各々の関係性や連帯性などを定期的に共有・確認できる機会、共同体の素地を体験してみたい。
【参加してみたい】地域のコミュニケーションが活発になれば、治安がよくなりそうだから。
【参加してみたい】以前、料理教室に通っていたことがある。自分は男性だったが、参加者は自分以外すべて女性で、次第に自分もその場に同化していくような感覚があった。みんなでランチに行き、4〜5時間ひたすら雑談をしているうちに、いつの間にか深い話になってじんわりと全員がその意見に同意していく瞬間があった。
現代の「寄り合い」は、もしかすると女性たちのあいだで連綿と生き続けているのではないだろうか。非難ではなく共感を通じて合意がかたちづくられていくそのプロセスには、平和な同意形成があったように思う。そのような寄り合いがあるのなら、ぜひ参加してみたい。
photograph by Yasuhide Kuge
2025年9月9日配信
デジタルイノベーションの裏側に走る中国のプラグマティズム:上海・深圳デジタルインフラ見学ツアーレポート
黒鳥社主催の「ANOTHER REAL WORLD Shanghai/Shenzhen DIGITAL INFRASTRUCTURE TOUR 2025」は、中国イノベーションの現状を体験する貴重なツアープログラムとなった。ドローン配達、自動運転、顔認証AI……デジタルインフラが生活に溶け込み、日々進化を遂げる背景で何が起きているのか。『アフターデジタル』著者・ビービット藤井保文氏とツアーを振り返った。
◉アンケート結果
Q:生活が便利になるのであれば、より多くの自分のデータを企業や政府に提供してもいい?
◉回答理由
【提供してもいい】いまの不便さを解消し、より時間を自分に使えるのであれば、進んで提供したい。
【提供してもいい】見られているという前提で国、国民ともにサービスや色々なものが設計されている方がまだ健全だと感じる。
【提供したくない】信頼していないから。
【提供したくない】十分生活は便利だし、日本人にとっては曖昧なものを扱うというのが長けていると思うので、不便でもそのプロセスや困難に対する行動を大事にしたいし楽しみたい。
photograph by Ryo Tsubosaka
2025年9月16日配信
「韓国出版界のコーチェラ」はこうして生まれた:ソウル国際ブックフェアの変革史
女性を中心にした若い来場者が集い、1日で1000万円を超える売り上げを記録するブースも生まれ、アメリカの一大音楽フェスになぞらえられるほどに熱気を放つ「ソウル国際ブックフェア」。代表のチュ・イルウ氏は、書籍割引規制の強化による低迷を乗り越え、いかにして「読書という静かな文化」を国際的な祭典へと発展させたのか。ファンダム型のイベント設計から「テキスト・ヒップ」現象まで、革新の舞台裏に迫る。
◉アンケート結果
Q:「ファンダム型・デザイン重視」のイベントのかたちは、日本のフェアやフェスにも導入できる?
◉回答理由
【導入できる】導入出来るし、導入した方が良いと思う。
photograph courtesy of Seoul International Book Fair
2025年9月23日配信
歴史は“みんな”で紡げるか:「パブリック・ヒストリー」の格闘
歴史はみんなのもの。そう口にするのは簡単だ。SNS上では、専門家も非専門家も隔たりなく、各々の関心に従って歴史的事象を調べ、発言し、議論を交わしている。しかしデジタル・ツールの浸透は、社会に根づいた歴史修正主義までも議論の場へとなだれ込ませる。その困難に立ち向かうのが、「パブリック・ヒストリー」という学問領域だ。専門家と市民がともに歴史をつくる実践の可能性と課題について、民俗学者・菅豊に訊いた。
◉アンケート結果
Q:専門家と非専門家との協業は進めていくべきか?
◉回答理由
【進めていくべき】協業を諦めてしまえば、疑似科学の跋扈を事実上認め、放置することになりかねない。対話が可能な人は一定数存在する以上、諦めず、辛抱強く対話を続けていくしかない。
また、歴史がアカデミアの内部だけで完結するものになれば、その権威への反発が疑似科学を生み出す土壌になり得ることを、倉橋耕平氏が『歴史修正主義とサブカルチャー』(青弓社)で明らかにしていた。オープンサイエンスこそ疑似科学を抑える方法と考えている。【進めていくべき】情報が無制限に拡大していくなか、多様な視点を確保できることは、客観性や変容といったものを保ちやすくなると思う。
【進めていくべき】こと民俗学など「在野の一次情報が肝要」となる学問領域においては、研究者などの専門家が踏み込む事の難しい領域にも学問のまなざしを広げる事ができるため、結果として学問領域全体の知識量を増やすことができるから。
撮影・山田凌
2025年9月30日配信
矛盾に気づくのはずっと後:ポルトガルの賢者、ペドロ・コスタかく語りき
東京都写真美術館で開催された「総合開館30周年記念 ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」展。かろうじて足元が見えるほどの暗がりに延びる通路を進むと、そこには長年にわたり協働してきた、ポルトガルの旧植民地から移住した人びとの姿が浮かび上がる。スティーヴィー・ワンダーに触発された今回の展示と、歴史と記憶に根ざした過去作の話を通じて、映画界の巨匠が模索してきた世界のありようが立ち現れる。
◉アンケート結果
Q:自分の仕事は歴史と結びついている?
◉回答理由
【結びついている】シスジェンダー女性であり、かつケアの仕事の現場にいる自分にとって、これまでも、これからも、自身の仕事が歴史と結びついていないとは言えないと思う。
【結びついている】歴史を紡いできた生活、文化や、それを包括する地域とつながる仕事をしていると考えているから。
photograph by Shigeta Kobayashi
2025年10月7日配信
大人が知らない有名中国企業: ルービックキューブを革新する「GANCUBE」の正体
「ルービックキューブ」にまだイノベーションの余地があったことを、いったい誰が想像しただろう。そして現在の日本の子どもたちもこぞって欲しがる最先端キューブが、中国企業によってつくられたものであることを誰が知っているだろう。おもちゃから競技用デバイスへの進化、スマホとの連動機能、精緻なつくりと操作感など、既存のキューブをあらゆる側面からアップデートした「GANCUBE」の正体とは?日本メディアによる初インタビュー。
◉アンケート結果
Q. 「イノベーション」は、さまざまな領域で、まだまだ起こせる?
◉回答理由
【起こせると思う】具体的にどの領域かは想像も出来ませんが、決裁権をもった50歳以上の人がいない領域であれば、さまざまなイノベーションが起きるのではないかと思っています。
【起こせないと思う】LM楽器あるいはクラシック楽器業界をイメージすると,近年(PC、インターネット普及以降)の高品質・均質な製品では、どうしても昔の職人の手作業やヴィンテージ木材などの魅力や本質を越えられないため(そんなことはないと、新素材や新技術で頑張る方はたくさんいますが)。
photograph courtesy of GANCUBE
2025年10月14日配信
「アーバニスト」がつくる都市を目指して──都市体験のデザインスタジオfor Citiesの実践【「場」の編集術 #03】
これからの都市における空間のあり方を考えるシリーズ「『場』の編集術」。第3回は、東京、京都からカイロ、チェンマイまで、国内外を横断しながら多彩な編集的実践を積み重ねてきたfor Citiesを訪ねた。つくり手と使い手の構造的な分断を乗り越え、誰もが主体的に都市に関わる未来を実現するため、共同設立者の石川由佳子氏と杉田真理子氏は俯瞰図とストリートを自在に行き来する「アーバニスト」に希望を見いだしている。
◉アンケート結果
Q:「地元」は複数ある?
◉回答理由
【複数ある】生まれた土地よりも、自分にとって人々と心が通いやすい土地があって、そこにいる時の方が一般的に「地元の安心感」と呼ばれる感覚があるため。
【複数ある】思い入れがある街や場所が複数あればよい。何なら「地元」ということばもなくてもよい。
【複数ある】「どこ出身ですか?」と聞かれるたびに、生まれた場所か、愛着のある場所かで悩みつつ使い分けている。
【複数ある】出生地や実家よりも、祖母の暮らす地域に行く方が「帰省」に近い感覚がある。
photograph by Nishida Kaori
2025年10月21日配信
アメリカを走る「軽自動車」:25年前の日本車を愛する人びとの集い
コロナ禍前夜からアメリカで萌芽し、パンデミック期に静かに広がっていった「軽自動車」カルチャー。小さく、安く、シンプルな車が、なぜいま多くの人びとを惹きつけているのか。その背景には、巨大化する自動車社会のなかで生まれたもうひとつの価値観と、DIY精神を軸にした人びとのつながりがある。軽自動車の愛好家が集うコミュニティ「Capital Kei Car Club」の代表に、ムーブメントの現在地を訊いた。
◉アンケート結果
Q:もし、いま車を買うなら軽自動車? 高性能車?
◉回答理由
【軽自動車】高性能車は壊れたら手が出せない、自分で修理できないし部品も限られる気がするから。
【軽自動車】高性能で小さくて燃費が良くてデザインの良い車がないので「軽自動車」を選びます。いま現在も「軽自動車」に乗っています。
【最新の高性能車】理想をいうなら、軽自動車のコンパクトさのある、最新の高性能車です。
photograph courtesy of Capital Kei Car Club
2025年11月4日配信
農業の未来を“刺激“するバイオスティミュラントの奥深き世界
収穫の秋。御しきれぬ自然環境や作物と向き合う農業という営みは、いまも昔もわたしたちの社会の隅々に根を下ろしている。そんな農の世界において、農薬でも肥料でもない生産資材「バイオスティミュラント」が、近年ヨーロッパでの隆盛を受けて日本でも受容されつつある。そこには未確定の領域ならではの面白さ、市井の隅々での人びとの生産とルールメイキングを含めた状況の変動をめぐる興味深いダイナミズムが宿っている。
◉アンケート結果
Q:バイオスティミュラントのルールメイキングは、誰が主導すべき?公的機関?民間の業界団体?
◉回答理由
【民間の業界団体】公的機関による取り締まりではボトルネックが狭すぎる。(中略)UberやAirBnBのようなプラットフォーム上での流通、使用サポート、結果レポートなどがなされ、クラウドソーシング型の評価が誰でも参照できるのがいい。
【民間の業界団体】当事者は必死感がまるで違うから。
メトロポリタン美術館のパブリックドメインより
2025年11月4日配信
ゲームが仕事になるまで:ブラジルが拓いたゲーム産業の第3の道
数年前まで、ブラジルでゲーム開発をして生計を立てることは不可能でした──そう語るのは、近年急成長を遂げるブラジルのゲーム産業を支える中心人物、パトリシア・サトウ氏だ。歴史ある大手メーカーも、巨額の投資を行うエンタメ企業も存在しないなか、ブラジルはゼロから産業を築き上げた。同国のゲーム産業はいかにして生まれ、「次なるゲーム市場大国」として世界の注目を集めるに至ったのか。その歩みと現在地を探る。
◉アンケート結果
Q:ブラジル発のゲームをプレイしたことがある?
◉回答理由
(自由回答なし)
photograph by Yuri Manabe
2025年11月11日配信
著作権の「グレーな部分」:山田奨治と内沼晋太郎と考えた〈権利保護〉と〈フェアユース〉のあわい
今年8月、表紙に複数のZINEの書影が許諾なく使用されたことをきっかけに、SNS上では大きな議論が巻き起こった。そこから浮かび上がったのは「保護」と「利用」の間にある微妙な線引きだった。そもそも著作権は何を守るためにあり、どう運用されるべきものなのか。この騒動をめぐって書影利用の観点から議論を提起したブックコーディネーター・内沼晋太郎氏と、情報学者・山田奨治氏を迎え、著作権とその曖昧な部分について考える。
◉アンケート結果
Q:著作権の保護期間「70年」は長い?短い?
◉回答理由
【長い】個人が考えて、それをもって利益を得ると考えるなら、特許と同じく、25年が良いと思う。
【長い】作家をリアルタイムで経験した人にとって、70年はあまりにも長い。文化として共有される前に、資本に絡めとられた商品と化してしまう。
【長い】著作者個人の権利保護は当然ですが、孫まで含んだ代を保護する必要はないと考えるため。それよりも、社会的資産として、社会に還元する方が健全だと思う。
【短い】ちょうどいいのではないか。
image by treedartist/Getty Images
2025年11月18日配信
「記憶のマネジメント」を引き受けるのは誰か【WORKSIGHT最新号『アーカイブする?』巻頭言】
倉俣史朗がデザインしたすし店「きよ友」が香港の美術館に移された出来事は、文化的遺産が国内で見過ごされてきたことの証左かもしれない。世界の美術館が収蔵庫を公開し、企業が自らの歴史を語り直そうとする現在、問われているのは「記録を残すか否か」ではなく「何を未来に手渡したいのか」だ。2025年11月19日刊行『WORKSIGHT[ワークサイト]29号 アーカイブする? Archive?』より、編集長・山下正太郎による巻頭言を特別転載。
◉アンケート結果
Q:アーカイブ」はできるだけ公共機関が担うべき?
◉回答理由
【公共機関】半官半民で実行すべきと思う。例えば「スーパーポテト秋葉原」のレトロゲーセンをはじめ、怪しく魅力的な施設に外国人が殺到しているが、日本人は見向きもしておらず価値を認識できていない。「TOHAKU茶館」のように半官半民で外国人観光客に訴求し、アーカイブと利益を両立できるような施設を作れることが理想だと思う。
【公共機関】社会の記録を利用・後世に伝えるには、第1層として、公共機関が担い、責任をもって品質や精度を担保すべき。そこから抜け落ちる記録を、第2層として、さまざまな主体が適切な方式でアーカイブするのが、多様性の観点から好ましいと考える。
【私企業・個人など】多様な主体が担うことによって、レジリエンスが保たれ、かつ記憶のナラティブも多層的で豊かになると思う。公共機関のアーカイブは、「最も長く、堅牢に維持される=信頼できる」ものだと思われがちだが、近年は必ずしもそうとは言えない。
【私企業・個人など】公共機関だけでは賄いきれない思うので、公共機関も含め多様な主体が担わなければならない。
photograph by Shinji Otani
2025年11月25日配信
キーボード、つくってみたらどうなった?:自作キーボード専門店・遊舎工房が広げた「つくる」コミュニティ
左右に分割してみたり、超コンパクトにしてみたり……ユニークなキーボードを自分でつくる「自作キーボード」が、この数年で静かなブームとなっている。国内最大級のキーボード即売会「キーケット」は、あまりの盛況ぶりに入場制限がかかるほどの人気ぶり。そんなムーブメントの中心で、ハブとして機能してきたのが、日本初の自作キーボード専門店「遊舎工房」だ。その歩みをたどりながら、世にも不思議な自作キーボードの世界に潜入する。
◉アンケート結果
Q:サポートが整った環境があれば「自作」してみたい?
◉回答理由
【自作してみたい】手首への負担が少ないキーボードが欲しくてネットを徘徊していた折、つい先日、遊舎工房さんのホームページを拝見した。もともとメカニカルキーボードが好きで、電子工作も好きなので、ぜひ自作してみたい。
【自作してみたい】すでにキーボードを自作している。
【自作したいとは思わない】昔から手先が不器用なので自作したいとは思わないが、オーダーが出来るならそのオーダーとアイデア出しはしてみたい。
photograph by Yuki Aizawa
2025年12月2日配信
生者と死者が通い合う:野田真吉〈民俗神事芸能三部作〉を観る【畑中章宏 寄稿】
戦後日本に残った民俗神事を映像に記録し続けた「知られざる巨匠」野田真吉(1913~1993)。彼が捉えたのは、単なる地域の伝統を超えた、人間・自然・死者が交差する世界の“構造”そのものだった。2025年12月6日(土)、東京・ポレポレ東中野ほか全国にて特集上映される「野田真吉特集──ゆきははなである」にあわせて、民俗学者・畑中章宏がその独特の視線を読み解く。
◉アンケート結果
Q:伝統的な「民俗」を記録することには、ただ「過去を記録する」以上の意味がある?
◉回答理由
【あると思う】人の営みが連綿と続いていることで今日があり、未来へ継承する必要があると考えるから。
【あると思う】民俗は「郷愁」を感じさせない。それは民俗が今を生きる民のものだからだと思う。従って、その記録に《過去》が映り込むことはないのではないか。
【あると思う】不気味の壁は、かつて人類に侵入した寄生生物の記憶の名残ではないかという説がありる。そうした話を聞くと、神楽もまた、過去に起きた災厄に対する継承された記憶なのではないかと考えてしまう。神楽を見ていると、いつもそんなことが、つい頭に浮かんでくる。
『冬の夜の神々の宴 遠山の霜月祭』(1970)より
2025年12月9日配信
フィールドワークは万能じゃない:民俗学者・辻本侑生の試行錯誤
フィールドワークを手法として用いる人類学・民俗学の応用に注目が集まり、社会課題の発見、顧客ニーズの把握、教育などビジネスの幅広い文脈で導入され多様化する一方、その神話化も進行しているように見える。『生きづらさの民俗学:日常の中の差別・排除を捉える』(明石書店)共編者で民俗学者・辻本侑生氏に、さまざまな立場での実践経験ゆえのフィールドワークへの違和感と希望を聞いた。
◉アンケート結果
Q:フィールドワークの実践において、前提のズレはどの程度まで許容されるべき?
◉回答理由
【広く許容すべき】フィールドワークとは、さまざまなズレが生じること自体に価値を見出す営みであると考える。そうした立場に立つならば、ズレはより広く許容されるべきである。
【大きく逸脱すべきではない】前提が変わるのであれば、最初の前提での結論を明確に示すことが、そのプロジェクトの成果ではないか。
撮影:石川登之子
【WORKSIGHT SURVEY #33】
Q:メディアの価値は、新しい「知識」に出会えること? 新しい「問い」に出会えること?
WORKSIGHTは、これからの社会のあり方を捉えるべく、新しい「知識」との出会いをつくる試みとして、ユニークな現象や動きを取り上げてきました。他方、記事を通じて提示される「問い」を手がかりに、読者とともに探求することも、同じく大切にしてきました。あなたは、メディアの価値は「知識」と「問い」のどちらにより強く宿ると考えますか? ぜひご意見をお聞かせください。
次週12月23日は、2025年振り返り企画・第2弾として、今年配信したWORKSIGHTニュースレターのなかから、人気記事TOP10と、編集部員が選ぶおすすめ記事をご紹介します。毎週火曜日に配信しているニュースレターも、次回が年内最後の配信となります。どうぞお楽しみに。

































































