参加型の調査コンテンツ〈WORKSIGHT SURVEY〉スタート!【特別ニュースレター】
読者からのフィードバックを通じて、新たなディスカッションのきっかけを生み出す読後アンケート〈WORKSIGHT SURVEY〉が始まりました。今回は、これまでに寄せられた回答結果と読者の声をご紹介します。
WORKSIGHTでは、2025年4月から参加型の調査コンテンツ〈WORKSIGHT SURVEY〉をスタートしました。毎週火曜配信の記事の最下部にアンケート機能を実装し、記事で取り上げたテーマについての意識調査を行うことで、読者からのフィードバックを可視化しようとする試みです。読者が記事を受動的に読むだけでなく、記事が投げかける問いに各々の視点から回答することで、自律協働社会を考えるための新たな論点を生み出し、WORKSIGHTへの新たな参加のかたちを構築しています。
今週の特別ニュースレターでは、〈WORKSIGHT SURVEY〉開始以降に配信した7本の記事を取り上げ、読者のみなさんから寄せられた回答結果とコメントを紹介します。
4月29日配信
バーンズ・アンド・ノーブルの書店再生術:CEOが語る"自律的チェーン店"のすすめ
photograph by Angus Mordant/Bloomberg via Getty Images
アメリカの大型書店チェーン「バーンズ&ノーブル」のCEOジェームズ・ドーント氏のインタビュー記事。地域ごとのニーズに応じ、品揃えや棚づくりを各店舗に委ねるアプローチで「バーンズ&ノーブル」を再建した氏に、復活の舞台裏を訊いた。
◉アンケート結果
Q:バーンズ&ノーブルの取り組みは他業種・業界でも転用可能?
◉回答理由(抜粋)
【転用可能だと思う】完全に自由な個人店より、ある程度枠(基準)がある中での自由の方がやる方もやりやすく万人にもちょうど良く受け入れられるように思える。それと立ち上げる際の初期投資やノウハウなど個人店では大きすぎる負担を代替できる大手チェーンならではのメリットがあると思う。
【転用可能だと思う】コーヒーチェーン、酒屋、レコードショップなど文化性の高い業態(蘊蓄を込めた手書きPOPが有効な店)には即転用が可能だと思うし、コンビニとかも顧客接点であるフランチャイジーに権限を委ねたほうが自主的に考えた店づくりをして、結果リピーターが集いやすくなると考えた。
【転用可能だと思う】どのような業態でもリアルな店舗であれば、一つの旅と見做せるとしたら、そこに“住む人々”との交わりは価値あるものになるのでは。
5月13日配信
会社が「境界」だとするならば:経営学者・岩尾俊兵と「経営」「会社」を再考する【会社の社会史・番外編】
photograph by WORKSIGHT
ベストセラー『世界は経営でできている』で知られる経営学者・岩尾俊兵氏と、『会社と社会の読書会』で日本における会社のあり方を見つめ直した民俗学者・畑中章宏氏による対談が実現。経営と会社に新たな視座をもたらす対話を繰り広げた。
◉アンケート結果
Q:日々の選択や行動を「経営」として捉えたことは?
◉回答理由(抜粋)
【捉えたことがある】日々の選択に、世の中でいうところのビジネス的な「経営」という意味を付与したことはないのですが、「価値創造に向けて、豊かな共同体をかたちづくる営み」と捉えて行動するようなことはある気がします。
【捉えたことがある】体重や睡眠などを記録して体調管理の参考にしたりはしているので、どうも自分はお金や手続きのような面以外では経営とも近いことをしているのかもしれない。
【捉えたことがない】自分の生活が「社会に帰属している」と言えるものではないから。その日を生きることでいっぱいだから。
5月20日配信
都市を「診る」とは:消費を問い直す「町の診断師」北沢恒彦の実践【WORKSIGHT最新号『消費者とは』より】
photograph by KAI Fusayoshi
「町の診断師」として京都の商店街を記録した北沢恒彦(1934-1999)の実践に焦点を当てたコラムと、企画展「まちの診断師 北沢恒彦」を企画した建築史家・和田蕗のインタビュー。都市との向き合い方を再考するための手がかりが浮かび上がった。
◉アンケート結果
Q:現代のまちづくりに「素人」の視点は必要?
◉回答理由(抜粋)
【必要だと思う】まちとは他者の集まりであり、それぞれの個人的なこと(私的・詩的なこと)を最もよく発露できるのが「素人」だから。
【必要だと思う】まちづくりは建築や都市工学だけでなく多様な専門分野が関わります。なので特定分野の専門家ではなく、素人を含む多様な視点が必要だと思います。
【必要だと思う】実際にまちで暮らすのはたくさんの素人であり、その人の属性、価値観により異なる視点を持つ。知識がないからこそ自分のまちに対する純粋な視点をぶつけることができるはずだから。
5月27日配信
ジビエの「外」を見渡す:人類学者に尋ねた狩猟と獣肉の現在
photograph by Kaori Nishida
近年、日本でも流行している「ジビエ」は、山間部における獣害問題の深刻化への対応といった側面も大いに影響しながら、各地で試行錯誤が繰り広げられている。ブームの最中に垣間見える可能性と課題を、人類学者・大石高典氏に尋ねた。
◉アンケート結果
Q:味や硬さにばらつきのあるジビエ。その違いを楽しむことはできますか?
◉回答理由(抜粋)
【楽しめる】動物も、一体一体、体格も、顔も、性格も異なります。肉だけを見ているとそれが分かりません。しかし、個体と肉の紐付きを想像すること、体感することができれば、肉の味に違いがあることも理解が容易になり、受け取り方も異なるものになるのではないでしょうか。
【楽しめる】野生のものであるなら当たり前だから。きのこや山菜を山で採ったり、畑で野菜を育てる経験があれば、スーパーで並ぶものの均一性の方に違和感を感じる。野菜だけでなく肉もしかり。
【楽しめる】先生の言っていた、標準化に対して慣れきっているというご指摘が、事実それを言われるまで気づかなかった自分がいることによって正しいと感じました。
6月3日配信
アジアが集い、創造する「道場」:山形と東京、ドキュメンタリストの虎の穴
photograph courtesy of Yamagata Documentary Dojo
豪雪地帯の温泉郷で2018年以来、アジアのクリエイターが集い、語り合い、再び世界へ羽ばたいていったという稀有な場「山形ドキュメンタリー道場」。オルタナティブな場づくりと越境的なつながりの可能性について、主宰・藤岡朝子氏に訊いた。
◉アンケート結果
Q:アジア各地で、創作や表現における新しいつながりが広がっていると感じますか?
◉回答理由(抜粋)
【広がっている】自分がそのネットワーカーを務めたり、渦中にいるので経験としてそう思っている。
6月10日配信
記憶の可変装置としてのモニュメント:小田原のどかと考える、BLM運動からモヤイ像まで
photograph by Andrew Lloyd/Getty Images
公共空間に置かれた像は、誰の声を残し、誰の声を排除するのか。植民地主義や人種差別に関わる世界各地の像から、日本のハチ公像、モヤイ像まで、揺れ動く国内外のモニュメントを手がかりに、彫刻家・評論家の小田原のどか氏に語ってもらった。
◉アンケート結果
Q:日本のモニュメントを見て「なぜここに?」と感じたことはありますか?
◉回答理由(抜粋)
【立ち止まったことがある】陣馬山の山頂にある馬のモニュメントは初めて見た時はなんじゃこれはとビックリして立ち止まった記憶があります。
【立ち止まったことがある】交通事故が起きたところに花が手向けられていることがありますが、いろいろなところを歩いていると、そのような「ここで人が亡くなった」ことを示唆するようなモニュメントがひっそりとあることがあります(平和の像や忠魂碑レベルのものではなく、小さなほこらのようなもの)。そういうものは、そういうものの方から私に呼びかけているからなのかもしれませんが、無視できないような気持ちになり、つい立ち止まってしまいます。
6月17日配信
地図は、どうして地図に見えるの?:空想が照らし出すリアル
photograph courtesy of Momoko Yoshida
近年、自身が想像した架空の場所をマップのかたちに落とし込む「空想地図」という営みが、日本国内で熱心な人びとによって支持されている。空想地図の製作に取り組む若き研究者・吉田桃子氏とともに、地図のわからなさと魅力を見つめてみた。
◉アンケート結果
Q:地図のデザインや読み方には文化や国による違いがあると思いますか?
◉回答理由(抜粋)
【違いがあると思う】空想地図は、n=1の心象風景が描かれていて、ナラティブな弱い文脈の表現であり、欧米目線で地図に求められる機能としての役割とは真逆の存在と言えそう。行き先に対するルートについて、意思決定が素早くできる「機能」こそが地図の正義である、という感覚とはズレているから、違和感を持つ人が多かったのかも知れない。
なお、今週配信したニュースレター「『発光都市』を見つめて:写真家・聶澤文が撮影する中国の現在」でも〈WORKSIGHT SURVEY〉を実施中です。記事をお読みいただいた後、ぜひアンケートにご参加ください。今後は、毎週のニュースレターで前回の回答結果を紹介していく予定です。どうぞお楽しみに。