遊びとゲームの本棚(WORKSIGHTプリント版・22号「ゲームは世界 A–Z World is a Game」より)
年に4回プリント版を発行しているWORKSIGHT。年末の特別ニュースレターとして、各号の特集テーマに合わせて選書したブックリストをプリント版より転載して4日連続でお届けいたします。第1弾となる本日は、プリント版22号「ゲームは世界 A–Z」に掲載した80冊をご紹介。
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4日連続でお届けする年末特別ニュースレターでは、これまでに発行したプリント版より、各号の特集テーマに合わせてWORKSIGHTが選書したブックリストをお届けします。
第1弾は、2024年1月31日刊行の『WORKSIGHT[ワークサイト]22号 ゲームは世界 A–Z World is a Game』より、「遊びとゲームの本棚」に掲載した書籍をご紹介。カイヨワからホイジンガ、イェスパー・ユールにジェイン・マクゴニガルまで。「遊ぶことの哲学」「ゲームを考察する」「ゲームは創作を刺激する」など5つのテーマにそって計80冊の本をセレクト。多様に拡張しつつ進化/深化するゲームから現代社会を見つめます。
Play The Game
遊びとゲームの本棚
現代社会のそこかしこに息づき、未来への鼓動を響かせる、ゲームという存在。その一端をつかみ、わたしたちが次のステップを刻むためには、ガイドが必要だ。広がっていくゲームの地平をマッピングし、プレイヤーたちを遥かなる旅路へ導く80冊のチュートリアル。
Compiled by WORKSIGHT
遊ぶことの哲学
遊ぶ行為は、人間の核たる部分を構成している。不朽の名著から新世代の遊戯論まで、ゲームの淵源へ遡るテクストたち。
(左から)3.『なぜフィクションか?:ごっこ遊びからバーチャルリアリティまで』、6.『空間の詩学』、9.『玉ころがし』、15.『インポッシブル・アーキテクチャー』
1.『遊びと人間』ロジェ・カイヨワ・著/多田道太郎、塚崎幹夫・訳(講談社学術文庫)
2.『ホモ・ルーデンス:文化のもつ遊びの要素についてのある定義づけの試み』ヨハン・ホイジンガ・著/里見元一郎・訳(講談社学術文庫)
3.『なぜフィクションか?:ごっこ遊びからバーチャルリアリティまで』ジャン=マリー・シェフェール・著/久保昭博・訳(慶應義塾大学出版会)
4.『プレイ・マターズ:遊び心の哲学』ミゲル・シカール・著/松永伸司・訳(フィルムアート社)
5.『遊びの現象学』西村清和・著(勁草書房)
6.『空間の詩学』ガストン・バシュラール・著、岩村行雄・訳(ちくま学芸文庫)
7.『子どもの道くさ』水月昭道・著(東信堂)
8.『見えないスポーツ図鑑』伊藤亜紗、渡邊淳司、林阿希子・著(晶文社)
9.『玉ころがし』杉山一夫・著(法政大学出版局)
10.『万物の黎明:人類史を根本からくつがえす』デヴィッド・グレーバー、デヴィッド・ウェングロウ・著/酒井隆史・訳(光文社)
11.『官僚制のユートピア:テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則』デヴィッド・グレーバー・著/ 酒井隆史・訳(以文社)
12.『経験と教育』ジョン・デューイ・著/市村尚久・訳(講談社学術文庫)
13.『遊ぶヴィゴツキー:生成の心理学へ』ロイス・ホルツマン・著/茂呂雄二・訳(新曜社)
14.『創作する遺伝子:僕が愛したMEMEたち』小島秀夫・著(新潮文庫)
15.『インポッシブル・アーキテクチャー』埼玉県立近代美術館他・編/五十嵐太郎・監修(平凡社)
16.『人生はゲームなのだろうか?:〈答えのなさそうな問題〉に答える哲学』平尾昌宏・著(ちくまプリマー新書)
ゲームで現実を動かす
社会を新たな位相へとドライブさせていく秘められた力。ビジネス、教育、デザインにケア。あらゆる実践にゲームは開かれている。
(左から)17.『幸せな未来は「ゲーム」が創る』、23.『ゲームから学ぶAI:環境シミュレータ×深層強化学習で広がる世界』、26.『多元化するゲーム文化と社会』、31. 『ゲームさんぽ:専門家と歩くゲームの世界』
17.『幸せな未来は「ゲーム」が創る』ジェイン・マクゴニガル・著/ 妹尾堅一郎・監修/藤本徹、藤井清美・訳(早川書房)
18.『ゲーミフィケーション:〈ゲーム〉がビジネスを変える』井上明人・著(NHK出版)
19.『ボードゲームで社会が変わる:遊戯するケアへ』與那覇潤、小野卓也・著(河出新書)
20.『シリアスゲーム:教育・社会に役立つデジタルゲーム』藤本徹・著(東京電機大学出版局)
21.『デジタルゲーム学習:シリアスゲーム導入・実践ガイド』マーク・プレンスキー・著/藤本徹・訳(東京電機大学出版局)
22.『ゲームが教える世界の論点』藤田直哉・著(集英社新書)
23.『ゲームから学ぶAI:環境シミュレータ×深層強化学習で広がる世界』西田圭介・著(技術評論社)
24.『ゲームにすればうまくいく:〈ゲーミフィケーション〉9つのフレームワーク』深田浩嗣・著(NHK出版)
25.『動きそのもののデザイン:リサーチ・スルー・デザインによる運動共感の探究』三好賢聖・著(BNN新社)
26.『多元化するゲーム文化と社会』松井広志、井口貴紀、大石真澄、秦美香子・編(ニューゲームズオーダー)
27.『「ついやってしまう」体験のつくりかた:人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ』玉樹真一郎・著(ダイヤモンド社)
28.『融けるデザイン:ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論』渡邊恵太・著(BNN新社)
29.『NHKスペシャル:世界ゲーム革命』NHK取材班・編著(NHK出版)
30.『ルポ ゲーム条例:なぜゲームが狙われるのか』山下洋平・著(河出書房新社)
31. 『ゲームさんぽ:専門家と歩くゲームの世界』いいだ、なむ・著(白夜書房)
32.『ゲームメカニクス大全 第2版:ボードゲームに学ぶ「おもしろさ」の仕掛け』Geoffrey Engelstein、Isaac Shalev・著/小野卓也・訳(翔泳社)
ゲームを考察する
ゲームは遊ぶだけでなく、研究する対象でもある。世界を記述する新たな方法として、確立されつつあるその語り口を体感しよう。
(左から)33.『ハーフリアル:虚実のあいだのビデオゲーム』、37.『デジタルゲーム研究』、42.『ビデオゲームの美学』、45.『Gaming: Essays on Algorithmic Culture』
33.『ハーフリアル:虚実のあいだのビデオゲーム』イェスパー・ユール・著/松永伸司・訳(ニューゲームズオーダー)
34.『ルールズ・オブ・プレイ(シリーズ)』ケイティ・サレン、エリック・ジマーマン・著/山本貴光・訳(ニューゲームズオーダー)
35.『Videogame Atlas: Mapping Interactive Worlds』Luke Caspar Pearson、Sandra Youkhana・著(Thames&Hudson)
36.『ニューメディアの言語:デジタル時代のアート、デザイン、映画』レフ・マノヴィッチ・著/堀潤之・訳(ちくま学芸文庫)
37.『デジタルゲーム研究』吉田寛・著(東京大学出版会)
38.『ゲーム的リアリズムの誕生:動物化するポストモダン2』東浩紀・著(講談社現代新書)
39.『デジタルゲーム研究入門:レポート作成から論文執筆まで』小林信重・編著(ミネルヴァ書房)
40.『日本デジタルゲーム産業史:ファミコン以前からスマホゲームまで』小山友介・著(人文書院)
41.『中国ゲーム産業史』中村彰憲・著(角川アスキー総合研究所、電子書籍)
42.『ビデオゲームの美学』松永伸司・著(慶應義塾大学出版会)
43.『石取りゲームの数学:ゲームと代数の不思議な関係』佐藤文広・著(数学書房)
44.『日本遊戯思想史』増川宏一・著(平凡社)
45.『Gaming: Essays on Algorithmic Culture』Alexander R. Galloway・著(University of Minnesota Press)
46.『ゲーマーズブレイン:UXと神経科学におけるゲームデザインの原則』セリア・ホデント・著(ボーンデジタル)
47.『現代ゲーム全史:文明の遊戯史観から』中川大地・著(PLANETS、電子書籍)
48.『日本の「ゲームセンター」史:娯楽施設としての変遷と社会的位置づけ』川﨑寧生・著(福村出版)
ゲームは創作を刺激する
プレイしているだけでは飽き足らない! ゲームをめぐる想像力はやがて、プレイヤーを小説、エッセイ、マンガ等々の創作へと向かわせる。
(左から)49.『スタートボタンを押してください』、54.『メタルギア ソリッド:ガンズ オブ ザ パトリオット』、56.『ダンジョン飯(シリーズ)』、64.『ここは鴨川ゲーム製作所(シリーズ)』
49.『スタートボタンを押してください』D・H・ウィルソン、J・J・アダムズ・編/ケン・リュウ他・著/中原尚哉、古沢嘉通・訳(創元SF文庫)
50.『盤上の夜』宮内悠介・著(創元SF文庫)
51.『同時代ゲーム』大江健三郎・著(新潮文庫)
52.『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム』赤野工作・著(KADOKAWA)
53.『ここはボツコニアン(シリーズ)』宮部みゆき・著(集英社文庫)
54.『メタルギア ソリッド:ガンズ オブ ザ パトリオット』伊藤計劃・著(角川文庫)
55.『ユニヴァーサル野球協会』ロバート・クーヴァー・著/越川芳明・訳(白水Uブックス)
56.『ダンジョン飯(シリーズ)』九井諒子・著(KADOKAWA)
57.『生者と死者:酩探偵ヨギ ガンジーの透視術』泡坂妻夫・著(新潮文庫)
58.『文学のエコロジー』山本貴光・著(講談社)
59.『ネヴァー・ゲーム(上・下)』ジェフリー・ディーヴァー・著/池田真紀子・訳(文春文庫)
60.『石蹴り遊び』フリオ・コルタサル・著/土岐恒二・訳(水声社)
61.『インディーゲーム中毒者の幸福な孤独』ソーシキ博士・著(集英社)
62.『ゲームばっかりしてなさい。:12歳の息子を育ててくれたゲームたち』浜村弘一・著(エンターブレイン)
63.『煙滅』ジョルジュ・ペレック・著/塩塚秀一郎・訳(水声社)
64.『ここは鴨川ゲーム製作所(シリーズ)』スケラッコ・著(竹書房)
ゲームをつくってみる
未知のゲームをあなたの隣人が開発する時代。もはや、誰もがゲームメイカーの卵といえる。ゲームをつくることこそ、究極のゲームだ。
(左から)67.『上田文人の世界:言葉のないゲームはどのように生まれたのか?』、72.『「スーパーマリオブラザーズ」の音楽革命:近藤浩治の音楽的冒険の技法と背景』、75.『ゲームコンソール2.0』、79.『リセットを押せ:ゲーム業界における破滅と再生の物語』
65.『インディーゲーム・サバイバルガイド』一條貴彰・著/PLAYISM・監修(技術評論社)
66.『インディ・ゲーム新世紀ディープ・ガイド:ゲームの沼』田中“hally”治久、今井晋・監修(Pヴァイン)
67.『上田文人の世界:言葉のないゲームはどのように生まれたのか?』「上田文人の世界」制作委員会・著(KADOKAWA)
68.『ゲームデザイナーのための空間設計:歴史的建造物から学ぶレベルデザイン』クリストファー・トッテン・著/Bスプラウト・訳(ボーンデジタル)
69.『ゲーム制作者になるための3Dグラフィックス技術 〈改訂3版〉』西川善司・著(インプレス)
70.『人工知能の作り方:「おもしろい」ゲームAIはいかにして動くのか』三宅陽一郎・著(技術評論社)
71.『ゲームデザインバイブル〈第2版〉:おもしろさを飛躍的に向上させる113の「レンズ」』Jesse Schell・著/塩川洋介・監訳/佐藤理絵子・訳(オライリージャパン)
72.『「スーパーマリオブラザーズ」の音楽革命:近藤浩治の音楽的冒険の技法と背景』アンドリュー・シャルトマン・著/樋口武志・訳(DU BOOKS)
73.『プロフェッショナルゲームプランナー:ゲームづくりの現場の教科書』藤井厚志・著(技術評論社)
74.『実践ゲームUIデザイン:コンセプト策定から実装のコツまで』太田垣沙也子・著(翔泳社)
75.『ゲームコンソール2.0』Evan Amos・著/フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ・訳(オーム社)
76.『JENGA:世界で2番目に売れているゲームの果てなき挑戦』レスリー・スコット・著/雨宮寛、今井章子・訳(東洋経済新報社)
77.『ゲーセン戦記:ミカド店長が見たアーケードゲームの半世紀』池田稔・著/ナカガワヒロユキ・聞き手・構成(中公新書ラクレ)
78.『血と汗とピクセル:大ヒットゲーム開発者たちの激戦記』ジェイソン・シュライアー・著/西野竜太郎・訳(グローバリゼーションデザイン研究所)
79.『リセットを押せ:ゲーム業界における破滅と再生の物語』ジェイソン・シュライアー・著/西野竜太郎・訳(グローバリゼーションデザイン研究所)
80.『ゲームシナリオ入門:基礎知識から設定・キャラクター・プロット・テキストの技法まで』北岡雄一朗・著(技術評論社)
Photo by Hironori Kim
書籍『WORKSIGHT[ワークサイト]22号 ゲームは世界 A–Z World is a Game』
「21世紀はゲームの時代だ」──。世界に名だたるアートキュレーター、ハンス・ウルリッヒ・オブリストが語ったことばはいま、現実のものとなりつつある。ゲームは、かつての小説や映画がそうであったように、社会を規定する経済的、政治的、心理的、そして技術的なシステムが象徴的に統合されたシステムとなりつつあるのだ。それはつまり「ゲームを通して見れば、世界がわかる」ということでもある。その仮説をもとにWORKSIGHTは今回、ゲームに関連するキーワードをAからZに当てはめ、計26本の企画を展開。ビジネスから文化、国際政治にいたるまで、あらゆる領域にリーチするゲームのいまに迫り、同時に、現代におけるゲームを多面的に浮かび上がらせている。ゲームというフレームから現代社会を見つめる。
【目次】
Architects マイクラのなかの建築家、というお仕事
The Backrooms 巨大コンテンツとなった「不穏な部屋」
Convergence 21世紀はゲームによって統合される
Digital Community 遊ぶはつくる。企業はコミュニティ
Eco-System 5万人の町がゲーム開発の聖地に
Field Research ゲームさんぽ:ゲームという模擬社会を歩く
GPU ゲームから始まった戦争
University of Hertfordshire ゲーム教育の最高峰で「リアルタイムスキル」を学ぶ
itch.io プラットフォームは「拠り所」になれるか
Japanese Indie 講談社と集英社とインディゲームのあかるい未来
Karate Combat その格闘技はもはやゲームです
Luxury Brands ファッションDXとゲームコラボ
MechBird あるオルタナティブコントローラーの冒険
Non Player Character 能なしのミームが「妖精」になるとき
Obituary 葬儀・FF14・共同体
Play The Game 遊びとゲームの本棚
QAnon 代替現実ゲームと陰謀論の交差点
Random Access Movie 映画×ゲーム=名前のない物語
Serious Games 社会課題と向き合う11のゲーム
Tomo Kihara AIのまちがいがヒトにもたらすもの
Unity/Unreal Engine ゲームエンジンとアセット職人たち
Virtual Photography ゲームのなかで写真を撮る、というお仕事
Worldbuilding みんなが「世界」をつくり、群島をなす
X イーロンのゲーム実況とSNSの未来図
YouTuber ストリーマーたちの大統領選
⌘Z
【書籍詳細】
書名:『WORKSIGHT[ワークサイト]22号 ゲームは世界 A–Z World is a Game』
編集:WORKSIGHT編集部(ヨコク研究所+黒鳥社)
ISBN:978-4-7615-0929-3
アートディレクション:藤田裕美
発行日:2024年1月31日(水)
発行:コクヨ
発売:学芸出版社
判型:A5変型/128頁
定価:1800円+税