ゾンビはわたしたち!? WORKSIGHTプリント版・18号「われらゾンビ We Zombies」は1月31日刊行です【特別ニュースレター】
WORKSIGHT[ワークサイト]プリント版18号の特集テーマはなんと「ゾンビ」。ハイチ発祥のゾンビの原型からゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロ、流行りの「韓国ゾンビ」まで。ゾンビから考える現代社会。ゾンビが映し出すのは絶望か希望か。
Photographs by Hironori Kim
2022年7月に、「働くしくみ」と「ワークプレイス」を取り扱うメディアから、「自律協働社会のゆくえ」を考えるメディアへと生まれ変わった「WORKSIGHT[ワークサイト]」。
リニューアル第2弾となる、18号のテーマは「ゾンビ」。
ゾンビは、その発祥から資本主義と深く関わってきました。カリブ海のプランテーションから、消費資本主義、グローバル資本主義、金融資本主義と、資本主義が進化するにつれてゾンビも進化します。そのとき、ゾンビは、単なる比喩を超えて、わたしたちそのものの姿となるのです。
必読の論文「ゾンビ宣言:高度資本主義の時代における非人間の状態」、『ゾンビと資本主義』の著者・遠藤徹さんとともにゾンビ映画から読みとく現代社会、ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロが描いた絶望に迫る渾身のロメロ/アメリカ論、ゾンビと資本主義それぞれのルーツに関わる『奴隷会計』を読んだ、とある新入社員のインタビュー、ここ数年世界を席巻する「韓国ゾンビ=Kゾンビ」が投げかける新たな視点を考察した、韓国の気鋭の映画評論家カン・ドックによる書き下ろし、ジャン=ミシェル・バスキアと投機資本主義、そしてゾンビを結びつける仮説など、ゾンビと資本主義に関する読み物を盛りだくさんに収録。
さらには、ソンビにまつわる世界の出来事やメディアコンテンツの歴史をまとめた「ゾンビの世界史」や、ストリートダンサーに学ぶ「Kゾンビ」になるためのイラスト付きレッスンも掲載し、古今東西のゾンビを知ることができる一冊となっています。ぜひご覧ください。
目次に沿って、本号の内容をご紹介いたします。
◉巻頭言・ゾンビのすゝめ
文=山下正太郎(WORKSIGHT編集長)
ゾンビは私たちに何を語りかけるのか?5冊の書籍をガイドに、現代社会とゾンビの接続点をさぐる。
◉ゾンビ宣言
高度資本主義の時代における非人間の状態
文=サラ・ジュリエット・ラウロ/カレン・エンブリー
翻訳=遠藤徹
ポストヒューマン論の嚆矢であるダナ・ハラウェイの「サイボーグ宣言」を批判的に継承すべく、サラ・ジュリエット・ラウロとカレン・エンブリーが2008年に発表した「ゾンビ宣言」。 ハイチ発祥のゾンビの原型から、映画のゾンビ、そして未知なる 存在的/憑在的ゾンビへ。現代をゾンビの観点から捉え直そうとするときに必読の論文を初邦訳。
◉ゾンビの学校
文=遠藤徹
ゾンビの学校で現代社会を学ぼう!講師は名著『ゾンビと資本主義』の遠藤徹先生。
「資本主義」「労働」「ファストフード」「ポストヒューマン」「革命」「新自由主義」「感染症」の、7つのキーワードをもとにゾンビ映画から読みとく現代社会。 その絶望と、わたしたちの希望とは──。
◉ゾンビの世界史
コロンブスのハイチ到着からゾンビの物語は始まる。ハイチのヴードゥーの習俗から派生したゾンビは、書物、映画、漫画、ゲーム を通じて、世界の人びとの想像力を駆り立ててきた。年譜でたどる、ヒトとゾンビの500年。
◉死の報い
ジョージ・A・ロメロとアメリカの悪夢
文=ブライアン・エーレンプリース
現在のゾンビ映画の定型を「発明」した不世出の映画監督ジョージ・A・ロメロは、アメリカ社会を蝕む資本主義、軍国主義、植民地主義、人種差別、性差別を根源から批判しつつ、それを決して脱け出すことのできない牢獄として描く稀代のペシミストだった。現代社会において、絶望の巨匠は、いったい何をゾンビに託したのか。アート映画のSVODプラットホーム〈MUBI〉に掲載された渾身のロメロ/アメリカ論を特別掲載。
◉新入社員、『奴隷会計』を読む
ともにカリブ海のプランテーションにルーツがあるという、ゾンビと資本主義をつなぐのは「奴隷制」だ。2022年に刊行されたケイトリン・ローゼンタールの『奴隷会計:支配とマネジメント』は、奴隷制がいかに現代の企業マネジメントの基盤となっているかを明かした注目の書。昨年春に大手日本企業に就職を果たした入社8カ月目の新入社員(匿名)に『奴隷会計』を読んでもらい、インタビューを行った。
◉Kゾンビは右側通行しない
文=カン・ドック
翻訳=後藤哲也
2016年『新感染 ファイナル・エクスプレス』で世界的な注目を浴び、以後『キングダム』『今、私たちの学校は...』など、ゾンビ映画/ドラマに新たな視点を投げこんだ「Kゾンビ」。それは旧来のゾンビものとはどこが異なり、何を新たに語りかけているのか。韓国の気鋭の映画評論家カン・ドックによる書き下ろし論考。
◉韓国ゾンビになってみる
Kゾンビを演じる俳優たちは、プロの振付師やダンサーたちから数ヶ月にわたるゾンビ指導を受けるのだという。ゾンビを知るには、ゾンビになってみるのが一番。ストリートダンサーとともにゾンビの動きを身につけよう。
◉バスキアの絵がゾンビにしか見えない
文=若林恵
ジャン=ミシェル・バスキアは、投機資本主義の愛玩物として搾取され続けながら、それに絶えず異議を申し立て続ける反逆のヒーローとして、いまなお強力なアイコンであり続けている。バスキアは、終わることのない二項対立のなか、死にもせず生きもせず宙吊りにされる。そのありようはまるでゾンビじゃないか。と思えば、絵に登場するアイコニックな「キャラ」もゾンビに見えてくる。「バスキア=ゾンビ」という無理矢理な仮説に、本誌コンテンツディレクターの若林恵が挑む。
【書籍詳細】
書名:『WORKSIGHT[ワークサイト]18号 われらゾンビ We Zombies』
編集:WORKSIGHT編集部(ヨコク研究所+黒鳥社)
ISBN:978-4-7615-0923-1
アートディレクション:藤田裕美
発売日:2023年1月31日(火)
発行:コクヨ
発売:学芸出版社
判型:A5変型/128頁
定価:1800円+税