アジアがアジアを見る時代:WORKSIGHTプリント版・25号「アジアのほう Towards Asia」11月13日刊行!【特別ニュースレター】
いよいよ発売を迎えた『WORKSIGHT[ワークサイト]25号 アジアのほう Towards Asia』。西に憧れ、西ばかり見ていた時代から、〈アジアがアジアを見る〉新たな時代へ。Guruguru Brain/幾何学模様のGo Kurosawaをゲストエディターに迎えて送る、手探りのアジア探索。
photographs by Leo Arimoto
週刊のニュースレターを中心に、自律協働社会のゆくえを探ってきたWORKSIGHTは、11月13日にプリント版最新号『WORKSIGHT[ワークサイト]25号 アジアのほう Towards Asia』を刊行した。
わたしたちはずっと西に憧れ、西を目指してきた。しかし時代は変わり、カルチャーの新しい潮流はアジアから生まれつつある──。今号では、人気バンド「幾何学模様」のメンバーであり、音楽レーベル「Guruguru Brain」を運営するGo Kurosawaをゲストエディターとして迎え、〈アジアがアジアを見る〉新たな時代の手がかりを探る。
日本/アジア/欧米を股にかけて活動するGo KurosawaとTaiTan(Dos Monos)の対話から、Eastern Margins、Yellow Fangらカルチャー・フロントランナー5組へのインタビュー、さらには中国の若者の間で広がる寺山修司・横尾忠則・YMOブーム、阿佐ヶ谷を拠点に生まれたインディ音楽コミュニティ、そしてアジアン・サイケデリック、フットボールカルチャー、インディパブリッシャーまで。常に動き、変化し続けるアジアを追い、その見つめ方を考える特集だ。
【目次紹介】
◉新しいアジアのサイケデリクス
選=Go Kurosawa
カルチャーの発信地として存在感を強めるアジア。そこで生まれる新たなアートには、従来の欧米的な価値観や美学では分類しきれない混沌=サイケデリクスが広がっている。ロッテルダムを拠点にアジアの音楽を発信するレーベル・Guruguru BrainのGo Kurosawaが紹介する新しいアジアのクリエイティブの一端。
Compiled by Go Kurosawa(Guruguru Brain)
◉巻頭言 ひとつに収束しない物語
文=山下正太郎(WORKSIGHT編集長)
近年、欧米で「Cultural Stagnation」(文化停滞)ということばを耳にする機会が増えているなか、アジアにはいま違う風が吹いている。エネルギーに満ちたアジアン・ポップカルチャーがグローバルに受容されている現代において、失われた30年を経た日本が担うべき役割とは。
Photographs by MOTE
◉アジアのほう
対談 TaiTan(Dos Monos)× Go Kurosawa(Guruguru Brain)
この150年ほど、日本は遠く欧米を眼差し、その文化を取り入れることで自分たちの社会を形成してきた。状況は少しずつ移り変わり、眼前のアジアに新しい文化がうごめくのを日々目撃するようになった。日本/アジア/欧米を股にかけて活動するDos MonosのTaiTanと今号のゲストエディターGo Kurosawaのふたりが、「アジアのほう」の見つめ方を考える。
Moderation by Kei Wakabayashi(WORKSIGHT)
Text by Sho Kobayashi(WORKSIGHT)
Photographs by Rio Watanabe
◉イースタンユースの夜明け
Eastern Margins/bié Records/Yellow Fang/Orange Cliff Records/Yao Jui-Chung
かつて欧米が絶大な影響力を誇ってきたグローバルカルチャーが分散化しながら多極化しているいま、カルチャーをめぐる新しい潮流がアジアから生まれつつあるのかもしれない。アジアの変化を最前列で見ながら、まだ見ぬカルチャーのありようを切り拓いてきた5組のフロントランナーに訊いた。
Text by Hiroyoshi Tomite and Kei Wakabayashi(WORKSIGHT)
Photographs by Min Sett Hein and Hiroyoshi Tomite
◉北京のインディ番長、阿佐ヶ谷に現る
mogumogu から広がるオルタナティブ・コミュニティ
100年ほど前、川端康成らが居を構えて阿佐ヶ谷文士村を形成したエリアに、2023年オープンした中国インディ音楽のショップ/ライブハウス「阿佐ヶ谷 mogumogu」。中国、日本、さらには世界へ。アットホームな空気感のままに広がるインディでオルタナなネットワーク。
Text by Yuki Jimbo
Photographs by Takuro Toyama
Interpretation by Sauser Miho
◉Dirt-Roots
サッカーでつながるコレクティブ
サッカーは世界の共通文化だが、「フットボールカルチャー」を草の根で盛り上げているローカルコミュニティは分断していた。ところが近年、クリエイターを中心としたコミュニティが国境を越えてつながり始めている。日本のフットボールカルチャーマガジン『SHUKYU Magazine』編集長・大神崇が韓国・タイ・インドネシア・中国の仲間と立ち上げた、汎アジア的蹴球文化プラットフォーム「Dirt-Roots」の魅力。
Interview by Kei Wakabayashi(WORKSIGHT)
Photographs courtesy of SHUKYU Magazine
◉アジアンデザイナーたちの独立系エディトリアルズ
「本」というアナログな表現形式のなかに、新たな可能性を見いだす──。アジアのグラフィックグラフィックデザインの紹介を積極的に行っている近畿大学准教授・後藤哲也が、注目すべき10組のインディパブリッシャーをセレクト。「デザイン」を超えて、出版・編集の領域へと踏み出すアジアのデザイナーたちの挑戦。
Selection & Text by Tetsuya Goto
Photographs by Leo Arimoto(YOHAK DESIGN STUDIO)
◉テラヤマ・ヨコオ・YMO
中国で愛される日本のアングラ/サブカル
カルチャー大国ニッポンが最も輝いていた 1960〜80年代の「アングラ」な文学やアート、映画、音楽が、いま中国の若きクリエイターや編集者たちの間で、大きな注目を集めている。寺山修司、横尾忠則、YMOといった戦後日本を代表する文化アイコンに、彼ら/彼女らはなぜ魅せられるのか。上海在住歴8年、中国で自著も刊行する日本人編集者・サウザー美帆が取材した。
Text by Miho Sauser
◉百年の彷徨
アジアを旅した者による本の年代記
1世紀という時間をかけて、日本の人びとはアジアの地を訪れ、何かを理解し(たような気になり)、その知見を伝えてきた。そして日本もまた、海外からの眼差しの対象として存在する。旅行、仕事、調査に戦争......訪れる目的はさまざまだ。掴んだと思えば手からすり抜けるアジア、せめてその尻尾へとたどり着くための60冊のブックリスト。
Selected by Fumihisa Miyata(WORKSIGHT)
◉ロスト・イン・リアリティ
MOTEのアジアンクラブ漂流記2018/2024
雑誌の取材を機に、アジアのクラブカルチャーに足を踏み入れた編集者・石神俊大(MOTE)は、気づけば自らもDJとなって、その深みのなかへと埋没していった。大文字の「カルチャー」とは一線を画した、ローカルで猥雑な異世界としてのクラブ。無力感とあてどなさを頼りに見つけ出した、自分たちには立ち入ることのできない未知なるリアリティ。
Text & Photographs by MOTE aka Shunta Ishigami
【書籍詳細】
書名:『WORKSIGHT[ワークサイト]25号 アジアのほう Towards Asia』
編集:WORKSIGHT編集部(ヨコク研究所+黒鳥社)
ISBN:978-4-7615-0932-3
アートディレクション:藤田裕美(FUJITA LLC.)
発行日:2024年11月13日(水)
発行:コクヨ株式会社
発売:株式会社学芸出版社
判型:A5変型/128頁
定価:1800円+税