現代は中世である:WORKSIGHTプリント版・30号『新しい中世 The New Middle Ages』7月2日刊行【特別ニュースレター】
6月28日発売のWORKSIGHTプリント版・30号「新しい中世 The New Middle Ages」。社会的合意が崩れ、不確実な情報に翻弄される我々は、もうすでに「新しい中世」を生きているのかもしれない。中世というレンズで現代を読み解いていく。
Photographs by Hironori Kim
Cover Illustration by Natsujikei Miyazaki
週刊のニュースレターを中心に、自律協働社会のゆくえを探ってきたWORKSIGHTは、6月28日(日)にプリント版最新号『WORKSIGHT[ワークサイト]30号 新しい中世 The New Middle Ages』を刊行する。
帝国、教会、荘園、騎士団、ギルド、修道院……。中世とは、複雑怪奇な権威のネットワークが幾重にも絡み合った時代だった。アルゴリズムに導かれ、プラットフォームのなかで群れ、炎上によって見知らぬ誰かを裁くいま、わたしたちはすでに「新しい中世」を生きているのかもしれない。
作家で記号論学者のウンベルト・エーコは、1970年代に現代社会が「新しい中世」へ向かうと書き残した。メディア美学者・武邑光裕が読み解くエーコの予言と、16のキーワードを起点に「新しい中世」をたどる。心理占星術研究家・鏡リュウジと民俗学者・畑中章宏が語る星読みの民俗学、知られざる現代魔女の世界、「中世バトルスポーツ」に集う甲冑の騎士たち。さらに中世ゲーム研究から国際政治学者・田中明彦が読む現代の地政学まで。中世というレンズを通して、いまという時代を読み解く。
【目次紹介】
◉ギャラリー
現代は中世である
アルゴリズムに導かれるわたしたちは、プラットフォームのなかで群れ、炎上によって見知らぬ誰かを裁く。果たしてこれは未来への道なのか。むしろ、新たなかたちで「中世」が世界に舞い戻ってきたのではないか。16のキーワードからあなたを「新しい中世」へと案内する。
Text by Mitsuhiro Takemura
◉巻頭言
世界はふたたび中世になる
文=山下正太郎(本誌編集長)
帝国、教会、荘園、騎士団、ギルド、修道院……。中世は複雑怪奇な権威のネットワークの時代だった。単に「5~15世紀のあいだ」といった時代区分を超え、中世ということばが喚起するのは断片化した世界の姿だ。社会的合意が崩れ、不確実な情報に翻弄される我々は、もうすでに「新しい中世」を生きているのだ。
Text by Shotaro Yamashita
◉ウンベルト・エーコと新しい中世
文=武邑光裕
『薔薇の名前』で知られるウンベルト・エーコは、記号論学者であり、中世研究家でもあった。彼は1970年代の時点で、現代社会が再び「新しい中世」へ向かうとエッセイに記した。それは懐古的な歴史論ではなく、権威が分散し、真実が揺らぎ、情報と象徴が世界を組み替えていくというメディア論だった。AIとデジタルネットワークが現実と虚構の境界を溶かすいま、エーコの予言はかつてなく切実に響く。メディア美学者・武邑光裕が、エーコが書き残した「新しい中世」の現在的な意味を読み解く。
Text by Mitsuhiro Takemura
Illustrations by Natsujikei Miyazaki
◉対談
鏡リュウジ(心理占星術研究家)+畑中章宏(民俗学者)
スターゲイザーたちの「合理的」な世界
星を読むことは、占いや神話と結びついた神秘の営みと思われがちだ。しかし、かつてそれは農民が収穫の時期を読み、海民が天候を読んで漁に出る「合理的な行動」だった。占星術研究家と民俗学者の対話から、はるか昔、星を見上げてきたスターゲイザーたちの知恵を掘り起こし、現在とは異なるもうひとつの合理性を問い直す。
Text by Kazuaki Asato
Photographs by Tatsuya Hirota
◉わたしは魔女である
円香が語る「現代魔女」という行き方
現代において自らを魔女と名乗って生きる人びとがいる。その実践や儀式は、単なる懐古趣味ではないのだと、現代魔女・アーティストの円まど香か は言う。現実とフィクションの境界を軽やかに飛び越え、世界の見え方を変容させる現代魔女の世界とは。
Photographs by Rio Watanabe
Interview and Text by Sayo Kubota(WORKSIGHT)
◉中世の騎士、東京に集う
ドキュメント「戦え、騎士のように」/証言「騎士たちの理由」/インタビュー「中世剣術のリアリティを、現代で共有したい」
世界史の資料やゲーム、アニメで一度は見たことがあるだろう中世の騎士。その特徴的な全身鎧をまとい中世の剣術を用いて戦う競技が、いま東京で行われている。目白にあるキャッスル・ティンタジェルは「中世バトルスポーツ」の拠点として西洋剣術の指導を15 年以上続けてきた。現代人が中世の戦いに惹きつけられる理由とは何なのか。中世バトルスポーツの大会「茨杯」の熱気をレポートするとともに、キャッスル・ティンタジェル代表/西洋剣術コンサルタントのジェイ・ノイズに話を聞く。
Text by Sho Kobayashi (WORKSIGHT)
Photographs by Kaori Nishida
◉ゲームはなぜ中世を必要とするのか
中世ゲーム研究の第一人者、かく語りき
中世と聞いて、ゲームのファンタジー世界を想像する人は多いだろう。テクノロジーが進歩し、遊び方が変化してもなお、なぜゲームは中世を舞台として選び続けるのであろうか。国際的な中世ゲーム研究を牽引するとともに、ゲーム開発にも携わるウィンチェスター大学のロバート・ホートン博士に取材を行った。
Interview and Text by Sho Kobayashi(WORKSIGHT)
◉コンテンツガイド
中世の回廊
薄暗い石の回廊を進むたび、神秘、幻想、恐怖、秘密、魔法が静かに姿を現す。その先に広がるのは、遠い過去ではなく、現代の奥底に潜むもうひとつの世界。本・映画・アニメ・ゲーム……至る所に中世への回廊は存在する。
Selected by WORKSIGHT
◉「新しい中世」以降の世界
政治学者・田中明彦の予言から読む現代の地政学
1996年に刊行され、サントリー学芸賞を受賞した政治学者・田中明彦による著書『新しい「中世」:21世紀の世界システム』。冷戦終結後のアメリカ一極体制のもと、経済のグローバル化とともに複雑化する世界を、田中は「中世」ということばで表現した。刊行から30年を経て、JICA理事長を務める彼に取材を行った。国際政治の枠組みが次々に崩壊し、実質的な戦争が世界で勃発する2020年代は、「新しい中世」の本格的な到来なのか。それとも──。
Interview by Kei Wakabayashi(WORKSIGHT)
Text by Sho Kobayashi(WORKSIGHT)
Photograph by Hironori Kim
【書籍詳細】
書名:『WORKSIGHT[ワークサイト]30号 新しい中世 The New Middle Ages』
編集:WORKSIGHT編集部(コクヨ ヨコク研究所+黒鳥社)
ISBN:978-4-7615-0938-5
アートディレクション:藤田裕美(FUJITA LLC)
発行日:2026年7月2日(木)
発行:コクヨ株式会社
発売:株式会社学芸出版社
判型:A5変型/128頁
定価:1800円+税








