未来はベジタル!? WORKSIGHTプリント版・17号「植物倫理 Plants/Ethics」10月14日刊行です【特別ニュースレター】
書籍『WORKSIGHT[ワークサイト]17号 植物倫理 Plants/Ethics』が、全国書店、および各ECサイトでまもなく発売されます!リニューアル第1弾となる、プリント版・17号のテーマは「植物倫理」。植物と向き合い共存する、「ベジタル(植物的)な未来」(?)を考えます。
Photograghs by Ichisei Hiramatsu
オフィスのデザインや働き方を考えるメディアから「自律協働社会」というありたい社会像を考えるメディアへ。今年7月に大幅なリブートを行い、毎週ニュースレターをお届けしてきたWORKSIGHTは、プリント版コンテンツとして書籍『WORKSIGHT[ワークサイト]17号 植物倫理 Plants/Ethics』を10月14日(金)に発売します。
リニューアル第1弾となる17号のテーマは「植物倫理」。
動きもしない。語りもしない。感情ももたない。そんな「生き物=植物」と、人間はいかにして向き合うことができるのでしょうか。最も身近でありながら、最も遠い生き物との関係を考えるためには、これまでとは異なる人間観や倫理が、わたしたちには必要なのかもしれません。本号では、植物や庭と人間との関係を手がかりに「ベジタル(植物的)な未来」を考察します。
現代美術家・岡﨑乾二郎さんの植物と倫理をめぐることばから、ニュースレターとしても配信した記事、観葉植物店・RENの川原伸晃さんのインタビュー、日本未紹介の植物哲学者マイケル・マーダーの論考+インタビュー、飛騨の異色木工家・牧野泰之さんの挑戦を追ったルポ、民俗学者・畑中章宏さんによるレベッカ・ソルニット最新刊『オーウェルの薔薇』(11月刊行)の読み解き、世界的アーバンデザイナーのダン・ヒルさんによる、音楽家ブライアン・イーノと考えた「ストリートデザインの原則」をめぐる論考、さらには植物をめぐるブックガイドまで、多彩な読み物を収録。
フランス、日本、オランダの3人のアーティストによる植物をめぐるユニークなアート作品も掲載し、さまざまな角度から「植物倫理」に迫りました。ぜひご覧ください。
目次に沿って、本号の内容をご紹介いたします。
◉倫理─植物の報せ
絵・写真・文=岡﨑乾二郎
現代美術家・岡﨑乾二郎が、庭をいじり、植物と向き合うなかで得た問いと答えは何だったのか。植物や土壌の声を聴くことは、いかに可能なのか。その行為は、創作といかにつながっているのか。岡﨑が過去に書いた文章、そしてインタビューのなかのことばから、アートという営為に隠された秘密のエッセンスを浮き彫りにする。
◉巻頭言・あらたな隣人
文=山下正太郎
◉プランツケアの哲学
「人間中心」を越えるための植物談義
東京・三田の観葉植物店「REN」は、プランツケアという概念から、植物の持続可能性を追求するサービスを展開する。植物の「ケア」を通して見出した、人間と植物の新たな関係性、そこにおける哲学・倫理とは何かを、REN店主、川原伸晃との対話から考える。
◉植物こそ魂の核心
聖ヒルデガルトの植物的サイコ・フィジオ神学
マイケル・マーダー
12世紀の修道女〈ビンゲンのヒルデガルト〉は、西洋音楽史に最初に名を刻んだ作曲家であり、薬草を用いた医術の大家だった。そして何より、植物や鉱物までをも含んだ調和の取れた宇宙を幻視したヴィジョナリーでもあった。植物を通じて西洋哲学の歴史を読み替える、ロシア出身、ポルトガル在住の哲学者マイケル・ マーダーが、その稀有なヴィジョンの現代的意義を読み解く。
◉未来はベジタル
植物哲学者マイケル・マーダーとの対話
哲学者マイケル・マーダーはいかにして「植物」を哲学上のテーマとして選びとることとなったのか。西洋哲学史において、深堀りされることのなかった「植物」は、いかに西洋哲学を新たに読み替える契機となり、いかにわたしたちに新たな思考のフレームを授けることができるのか。日本未紹介の異色の哲学者が、独自のコンセプト「プラント・シンキング」、そして「ベジタル(植物的)」な未来のすがたを語るインタビュー。
◉香り、夜
写真=アナイス・トンデュール
◉植物の感じ
画=小橋陽介
◉木は呼吸しつづける
飛騨の異色木工作家・牧野泰之の挑戦
木は伐り出し、加工したあとも生き続けている──。木工作家としての活動が昂じて、木そのものの生態、木が発する「成分」の研究者へと転じた、異色の木工家・牧野泰之と飛騨の林で考えた、木の謎、植物の摩訶不思議、そして自然とつながるための人の営み。
◉境域に咲く花
レベッカ・ソルニット最新刊 『オーウェルの薔薇』を読む
文=畑中章宏
これまでの著作でユニークな角度から社会/精神のかたちを描いてきたレベッカ・ソルニットの最新刊は、イギリスの作家・批評家ジョージ・オーウェルと、彼自身が育てた「薔薇」をめぐるものだ。いままで語られることのなかった作家と植物との親密な関係。民俗学者・畑中章宏が、2022年11月に日本語版刊行予定の『オーウェルの薔薇』を、いち早くレビューする。
◉ベジタルな未来を読みとくブックガイド
WORKSIGHT編集部が選ぶ必読の81冊
植物には、わたしたちのこれからの生き方、考え方を指し示す、貴重なヒントが溢れている。ベジタルな未来を思い描くための必読書81冊を紹介するブックガイド。
◉ルーテッド
写真=ヘンク・ヴィルスフート
◉庭師のように考えよ
ブライアン・イーノと考えたストリートデザインの新原則
文=ダン・ヒル
世界の第一線で活躍するアーバンデザイナーのダン・ヒルは、ストリートデザインの新たな原則を考案するために、音楽家・美術家のブライアン・イーノに知恵を求めた。返ってきた命題は「庭師のように考えよ」。そのこころは「終わりではなく、始まりをデザインする」というものだった。ブライアン・イーノが綴った新たなデザイン・プリンシプルを都市計画に援用すると、果たしてどんなことができ、どんなストリートが生み出されるのか。庭としてのストリート、庭師としてのデザイナーという新たな観点から、アーバンデザインの最前線を読み解く。
【書籍詳細】
書名:『WORKSIGHT[ワークサイト]17号 植物倫理 Plants/Ethics』
編集:WORKSIGHT編集部(ヨコク研究所+黒鳥社)
アートディレクション:藤田裕美
発売日:2022年10月14日(金)
発行:コクヨ
発売:学芸出版社
判型:A5変型/128頁
定価:1800円+税
次週の特別ニュースレターでは、本号『WORKSIGHT 17号 植物倫理 Plants/Ethics』収録の編集長・山下正太郎さんによる巻頭言「あらたな隣人」をお届けします。お楽しみに。